失業手当を申請してみた

その他

長かった酷暑が過ぎて気候がよくなってきたので、ハローワークに行って失業手当の申請(正確には雇用保険の「基本手当」の申請)をしてみました。
失業手当の申請から受給までの流れは大まかに下記の通りとなります。

  1. 失業手当給付に必要な書類をハローワークに持っていって、求職の申し込みと受給資格があることを確認してもらう(受給資格決定日)
  2. 雇用保険受給説明会に参加して、雇用保険受給資格者証を入手する
  3. 求職活動する
  4. 失業認定日(基本は受給資格決定日から4週間ごと)までに就職できていなかったら、ハローワークで失業認定をしてもらい、失業手当の給付を受ける

以降、再就職できるまで3,4の繰り返し。
以下詳細です。

雇用保険に関する書類の確認と記入

離職すると、会社から雇用保険に関する以下の3種類の書類が送付されてきます。
これらのうち、離職票-1,2が失業手当申請に必要な書類です。

雇用保険被保険者証

雇用保険被保険者証

これは雇用保険に加入していることを証明するものです。転職をする際に就職先に提出する必要がありますので大事に保管しておきましょう。
被保険者番号は雇用保険に加入した際に割り振られる番号で、転職しても番号は変わりません。

離職票-1

失業手当 雇用保険被保険者離職票-1

これは離職者に関する情報が記載されたもので、離職者は「6.個人番号」と下の方にある「求職者給付等払渡希望金融機関指定届」に失業手当の振り込み先を記入します。
この様式はハローワークが作成して、離職する会社経由で入手します。

離職票-2

失業手当 雇用保険被保険者離職票-2

これは離職前の給与(賞与除く)や退職の理由を記載するもので、離職する会社が作成するものです。
離職者は
①顔写真の貼り付け(マイナンバーカードがあれば不要)
②会社が記入した離職理由の確認、および同意する旨の記入と記名・押印
を行います。

失業手当の給付日数と給付額について

失業手当はぶっちゃけいくらぐらい貰えるものでしょうか。
調べてみたところ、給付日数と日額は以下の条件で決まるものでした。

給付日数会社に勤めていた期間と、離職した理由(倒産/会社都合/自己都合など)
給付日額離職時の年齢と、離職時直近6カ月の賃金(賞与除く)。ただし上限あり。

具体的な日数と額は厚生労働省のこちらのページに記載がありました。
基本手当の所定給付日数
令和5年8月からの基本手当日額 ←毎年8/1付で平均給与や最低賃金などを参考にして見直しが行われます

私の給付日数は、1つの会社にずっと勤めて離職理由も「早期退職制度の利用(=会社の倒産などではなく通常の離職)」でしたので「基本手当の所定給付日数」表2の「20年以上」に該当して、このまま再就職ができなかった場合は、最大「150日」給付を受けることができます。

また、早期退職制度を利用した離職は、自分がその制度を選択して退職するので「自己都合退職」になるかと思っていましたが、制度上は「定年退職(先の離職票-2の離職区分が2E)」として扱われるそうで、給付制限事項の「正当な理由がなく自己の都合で退職した場合」には該当せず、給付制限無しで後述の受給の手続きから7日間の「待機期間」を経過した日から最大150日の支給となります。

給付制限が付くと、2カ月間(転職しまくっていると場合によっては3カ月間)失業手当が支給されませんのでラッキーでした。

ハローワークで求職の手続き

離職票-1,2の記入ができたら、自分の住所を管轄するハローワークに「マイナンバーカード」と失業手当振込先金融機関の「キャッシュカード(口座番号がわかるもの)」を持っていきます。
手続きの流れは以下のとおりで、1時間半ほどかかりました。(ほとんどは待ち時間です)

  1. 受付
    離職票-1,2の記入内容をチェックをしてもらって、OKなら求職票を受け取ります。
  2. 求職票の記入
    希望する職種、勤務形態、賃金などの労働条件、持っている資格などを記入します。
    記入できたら受付に戻って、求職情報登録の順番をとってもらいます。
    記入の仕方がわからないところは求職情報登録時に担当の方が説明してくれますので、とりあえず空欄のままでOKです。
  3. 求職情報登録(求職の申込み)
    求職票の内容をハローワークのシステムにインプットしてもらい、求職番号の採番、ハローワーク受付票を発行してもらいます。
    その後、受給資格確認担当者に引き継がれました。
  4. 受給資格確認
    受給資格確認の担当者に離職票-1,2を提出して受給要件を満たしていることを確認してもらい、受給資格が決定されます(受給資格決定日)。このときに、離職理由についても間違いや問題がないか判定してもらいます。
    無事に受給資格が決定したら、「雇用保険受給説明会」「最初の失業認定日(※)」の日時が指定されて、「雇用保険の失業等給付受給資格者のしおり」を受け取って手続きは完了です。

    (※)
    ネットでは「最初の失業認定日」は「雇用保険受給説明会」で決まるとありました。これは厳密には後述の待期期間に働いていないことを確認したうえで、雇用保険受給説明会で最初の失業認定日(=受給資格決定日から28日後)を指定するということだと思いますが、「求職の手続きを行った日」に最初の失業認定日が設定されているのは、みんな待期期間は働かないでしょという暗黙の了解があるんでしょうね。
ハローワーク受付票
求職の申込みをすると発行してもらえるハローワーク受付票。求職の相談などをする時に提示します。
全国どこのハローワークでも共通で利用できます。
雇用保険の失業等給付受給資格者のしおり
雇用保険の失業等給付受給資格者のしおり
説明会日時、初回認定日が記入済みでした。

待期期間(7日間)

受給資格が決定したら、その日から7日間はアルバイトなどで働かずにおとなしくしているか、真面目に(?)求職活動をしておきましょう。
というのも、雇用保険法に「求職の申し込み(受給資格決定)」をした日から、失業している日が通算して7日に満たない間は基本手当を支給しないとあるので、その期間に働いてしまうとその日数分は待機とみなされないため待機期間が延びていって、いつまでたっても後述の「失業認定日」がこなくなってしまうためです。

また、この期間にハローワークは、本人が退職をして、その後も就労していないか調査するそうです。

雇用保険受給説明会

受給資格決定日から2~3週間後に、ハローワークにて雇用保険受給説明会が行われます。私の場合は受給資格決定日から15日後でした。
この説明会に参加しないと失業手当は受給できないので参加必須です。忘れないようにしましょう。
この説明会では、失業保険の制度に関する説明や、今後の失業手当受給に関する注意事項(期間中に就職したりアルバイトをしたら、病気などで働くことができない期間があれば、こんなことをすると不正受給になる 等々)を説明してもらえるので、真面目に聞いておきましょう。
説明会に参加すると、失業手当受給に必要な雇用保険受給資格者証が交付されます。

雇用保険受給資格者証
雇用保険受給資格者証 表面
受領したら、印字されている項目について間違いがないか確認しておきましょう。
無事に離職理由が25=定年退職、給付制限なし、所定給付日数150日になっていました。
雇用保険受給資格者証
雇用保険受給資格者証 裏面
今後失業手当を受給したり、職業相談をするごとに、その記録が追記されていきます。

求職活動

(求職活動自体はいつから始めていてもいいのですが、記載の都合上ここに書きます)
再就職を目指して、ハローワークや転職サイトで提供されている求人情報や、転職エージェントを利用して、求職活動を行います。

求職活動の結果めでたく再就職ができたら、いろいろ条件はありますが(条件がたくさんあるのでとても書ききれない・・・)、下記の再就職手当が給付されますので、できるなら早めに再就職できると嬉しいですね。再就職手当を受給するには、就職先に採用証明書(様式は管轄するハローワークによって異なるため、受給資格者のしおりに含まれているものを切り離して使用します)を提出・記入してもらって、ハローワークに提出します。

就職日時点の失業手当給付残日数給付額
所定給付日数の2/3以上給付残日数×失業手当日額の70%
所定給付日数の1/3以上給付残日数×失業手当日額の60%

さらに、再就職先の賃金が前職の賃金より安くなった場合、これもいろいろ条件付きですが「再就職から半年間の給与の差額を補填(上限あり)」する「就業促進定着手当」も給付されます。

また、後述の「失業認定日」までに就職できていなかった場合に、失業手当給付申請に必要な「失業認定申告書」に記載できる求職活動(失業手当給付条件になる求職活動実績として認定されるもの)は以下の通りです。

  • 「雇用保険受給説明会」の参加
    これは先に記載したハローワークが実施する参加必須の説明会なので、初回の失業認定日に求職活動回数は最低でも1回はあることになります。
    [注]場所によっては別途初回講習会と呼ばれるものがあって、それに参加することで求職活動実績になるそうですので説明会参加時に確認しておいた方がよいかもです。
  • 求人への応募(ハローワーク、職業紹介事業所、インターネット応募など)
    ネットには求職活動の実績稼ぎとして、就職する気もないのにとりあえず応募するようなことが書かれていますが、求人側に不要な手間をかけさせてしまうので、やめておいた方がよいと思います。
  • 応募した企業の面接や試験
  • ハローワーク開催のセミナー・職業相談・紹介
    ハローワークの職業相談は事前予約など必要がないので、失業認定日にハローワークに行ったついでに(なんて書くと何ですが・・・)職業相談をすれば、求職活動としてカウントできます。
    ちなみに私が通っているハローワークでは、失業認定日に訪れる人は全員職業相談を受けることになっていました(受付→職業相談→認定 の流れ)。
    まぁ、合理的といえば合理的ですね。
  • 届け出や許可のある民間事業者が開催するセミナー・職業紹介・相談
    この民間事業者は有名なところではdodaやリクルートエージェントなどが該当していて、オンラインでいろんなセミナーが開催されているので、それらを受講すれば自宅にいるだけで求職活動実績を稼ぐことができます。
  • 公的機関が開催するセミナー・職業相談・紹介
  • 再就職に役立つ国家試験や検定など

求職活動の認定対象は上記のように客観的に活動していることが判断できるものなので、「ネットで自分に合う求職情報を探してました」とかは個人的には立派な求職活動ですが、残念ながら求職活動の実績としては認められません。

失業認定日

求職活動を行っても、失業認定日(基本は受給資格決定日から4週間ごと)時点で就職できていなかった場合、当該期間の失業手当が給付されます。給付日は失業認定日の一週間後くらいだそうです。

指定された失業認定日にハローワークに行って、雇用保険受給資格者証と失業認定申告書を提出します。サンプルはこちら
失業認定申告書に求職活動実績を記入しますが、失業手当の給付条件となる活動実績回数は以下の通りです。

初回の失業認定1回以上
ただし「求職活動」で記載の通り、「雇用保険受給説明会」の参加で求職活動が1回あるので、極論何もせずに最初の失業認定日を迎えることができてしまいます。
2回目以降の失業認定2回以上

ただし、給付制限がある場合は少しややこしくて、「給付制限期間とその直後の認定対象期間をあわせた期間に、2カ月給付制限の場合は2回以上、3カ月給付制限の場合は3回以上」という条件があるので最初のうちは注意が必要です。
文字で書くと分かり難いですが、ざっくり言うと「給付制限期間があけた次の失業認定日前日までに、雇用保険受給説明会(これで1回)以外に、2カ月給付制限なら1回以上、3カ月給付制限なら2回以上の求職活動を行う」ということになります。
それ以降の失業認定では上記の表の通り、2回以上となります。
また、給付制限がある場合でも「初回の失業認定日」は給付制限なしの場合と同じで受給資格を確認してもらってから4週間後に設定されます(給付制限期間中でも初回の失業認定日は設定されます)。この初回の失業認定日にハローワークに行かないと待期期間が満了したとことにならない(=その後失業保険を受給できない)ので、必ずハローワークに行きましょう。
その次の失業認定日は給付制限期間が過ぎてから設定されますので、給付制限期間中に2回目の失業認定日は設定されません。

また、求職活動のカウントは、前回の失業認定日~今回の失業認定日の前日までになるため、認定日当日に行った求職活動(認定日にハローワークに行ったついでに職業相談したとか)は次回認定日分にカウントされることになりますので注意が必要ですね。
もし失業認定日に求職活動実績が不足していた場合、その期間は残念ながら「不認定」になって失業手当は給付されません。
ただ、不認定になっても、その期間の失業手当がカットされて支給額や給付日数が減るわけではなく、失業手当の受給が可能な期間(最大で失業後1年間)の範囲で後回しになるだけなので、引き続き求職活動を続けていれば失業手当は給付されます。

また、失業認定日にハローワークに行って手続きをしないと、下記の通り大変なことになりますので、忘れないようにしましょう。

  • 前回の認定日からその認定日までの期間(28+1=29日間)の失業手当は支給されません。
  • さらにその次の失業認定日前日までにハローワークに行って職業相談を受けてやる気を見せておかないと、その次の期間の失業手当も支給されず、合計56日間支給なしになります。

もちろん病気や求職先との面談など、やむを得ない理由がある場合はハローワークに連絡して指示を受ければ認定日は変更してもらえますし、支給がカットされることもありません。

無事に(?)失業認定されたら、雇用保険受給資格者証に失業認定の記録が追記されて返却されます。
こちらが失業認定が1つ入った雇用保険受給資格者証です。

雇用保険受給資格者証
8~10行目に1回目の認定記録(認定日、給付残日数、次回認定日など)が印字されています。
39行目は失業認定日に合わせておこなった職業相談の記録です。こちらは次回認定の際に求職活動1回分としてカウントされます。

失業手当の振込は認定日から一週間くらいと聞いていましたが、2日後に振り込まれていました。

初回の振込額は、待期期間(7日)明けから支給対象となるので28日-7日=21日分となります。
2回目以降は(年末年始などで認定日がずれない限り)認定日の間隔である28日分が振り込まれます。
 

ハロートレーニング(離職者訓練)

ハロートレーニングは国が支援する無料(※)の職業訓練制度で、キャリアアップや希望する就職を実現するために必要な職業スキルや知識を習得することを目的としています。
(※)テキスト代など必要経費は受講者負担です。また上限はありますが受講手当や交通費も支給されます。

ただし、希望者全員が受講できるものではなく、訓練の必要性などをハローワークが認めて、トレーニング先で実施される面接・筆記試験等に合格した方が受講できるものです。
また、失業手当の受給期間の残りが一定期間(原則3分の1にあたる日数)を下回ってから受講を希望することはできません。
私のようなおじさんの場合、そもそも訓練の必要性を認めてもらえるものなのかわかりませんが(苦笑)

離職者訓練の利点は、就職に有利になるスキルを取得したり再就職先を紹介してもらえるだけでなく、訓練期間中は失業手当が給付されるので、失業手当をもらえる期間が延長されるケースがあります。
例えば、自己都合退職による給付制限期間中でも、訓練開始日から給付が始まります。
また、訓練の内容によっては年単位のものもあり、例えば元々150日の給付期間だったものが1年以上給付を受けることができる場合もあります。
もちろん、訓練期間中は失業認定日にハローワークに行く必要もありません。職業訓練をおこなっている訓練機関が本人の代理でハローワークに対して手続きを行ってくれます。


失業手当の受給手続きをしようと思ってネットでいろいろ調べてみましたが、知らないことがたくさんあって勉強になりました。

厚生労働省HP
 ・雇用保険給付について
 ・雇用保険制度 

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